老人ホームは高齢者が快適かつ安全に暮らせることを目的とした福祉施設ですが、すべての高齢者が老人ホームでの生活に満足できるとは限りません。住み心地の良し悪しは人それぞれなので、その人に適したケアを行うことが重要になります。

ここでは老人ホームにおける高齢者へのケアの詳細や問題点、レクリエーションを行う目的などについてお伝えします。

安全な生活と社会性の維持を目的とした福祉施設

老人ホームは高齢者が集団生活を営む場というイメージがあります。複数の高齢者が生活を共にする場なのは事実ですが、単に一緒の建物の中で暮らすだけではなく、高齢者が快適かつ安全に生活することを目的としている施設です。

多くの人にとっては自宅こそが心身をリラックスできる生活の場と言えますが、高齢者に関しては必ずしもリラックスできる場とは言い切れません。加齢や病気などの理由で身体機能が低下した高齢者にとっては自宅にあるわずかな段差も自力での移動が困難な障害物になってしまうためです。

また、廊下やトイレ、浴室などの狭い場所では思うように体を動かすことができないのも高齢者にありがちなトラブルと言えます。また、一般の住宅には体を支える手すりや支柱などは備わっていないため、足腰が弱っている高齢者にとっては転んでしまうリスクが高いのも事実です。

そのため、バリアフリー化されている老人ホームこそが高齢者にとって安全に暮らせる場と言えるでしょう。介護の専門知識を持つスタッフが常駐しているので、介助を必要とする動きも問題なく行うことができます。家族の手を煩わせることがないので、心身共に快適な状態を維持できるのも大きなメリットです。

老人ホームでの生活は高齢者の社会性を保つ目的もあります。加齢などによって体力が低下するとどうしても外出がおっくうに感じられてしまいます。自分から進んで外に出ようとする気持ちが減退し、遂には人付き合いも疎かになってしまうのです。

社会性が乏しくなると思考力や判断力が低下すると言われています。人付き合いがない高齢者は認知症になるリスクが高いとされていますが、これは他人と接することで生じる刺激を得ることができないためです。老人ホームは複数の高齢者が共同で生活しているため、必然的に他人と接することになります。

そのため、適度な刺激を得られる形になり、社会性が保たれるのです。

老人ホームでのケアにおける問題点について

高齢者向けの福祉施設である老人ホームでは要介護認定された高齢者に向けた様々なケアを行っています。体を支える介助作業はもっとも頻繁に行われるケアですが、体に触れることからトラブルが起きやすいのも事実です。

体を支える際に力の加減を誤り、痛みを感じさせてしまうトラブルは珍しくありません。また、老人ホームはあくまでも高齢者介護を目的とした福祉施設なので、専門的な医療ケアを受けることはできません。病院と連携している老人ホームもありますが、毎日の体調管理をアドバイスするなど、医学の知識に基づいたサポートを行うに留まっています。

医療ケアを受けるには通院や入院が必要になることから、老人ホームで行われるケアの詳細は事前に確認する必要があります。

老人ホームでレクリエーションを行う目的や注意点

老人ホームなどの高齢者福祉施設では利用者を対象としたレクリエーションを行っています。音楽に合わせて体操を行ったり大きな声を出して歌うなど内容は様々ですが、これらの行為は体を動かすことで身体機能の低下を防ぐのが目的です。

また、相手に合わせる、周りの状況を確認して適切に動くなど社会性を保つ効果もあります。一方で施設によっては子供のお遊戯のようなレクリエーションを行う所もあり、高齢者が忌避感を抱くケースも決して稀ではありません。

レクリエーションを行う場合、高齢者の身体機能や社会性ばかりではなく、その人の心情も踏まえることが施設側に求められる姿勢と言えるでしょう。このことから、ビンゴ大会などイベント的な要素のあるレクリエーションを行う施設が増えています。

ビンゴ大会が高齢者向けのレクリエーションに適している理由

ビンゴ大会は高齢者向けのレクリエーションに最適とされていますが、これは高齢者の社会性を保つのに必要な刺激を効果的に得られるのが理由です。ビンゴ大会は手持ちのカードに記された複数の数字が揃えば当たりですが、カードに記されている数字は人によって異なります。

また、当たりの数字は抽選結果が出るまで分からないため、数字が分かるまでの間に生じる緊張が適度な刺激になるのです。他の人と競う形になるのも社会性の維持に役立つ大きな要素であり、周りからの孤立を防ぐことができます。

加えて、数字が揃って当たった時に得られる達成感は心身に心地良い刺激となり、充実したひと時を過ごすのに役立つと言えるでしょう。景品を出すビンゴ大会では参加した高齢者の射幸心を煽ると問題視されることもありますが、ギャンブルとは異なり、参加した高齢者が金銭を損することはありません。

また、老人ホームで行うビンゴ大会では極端に高額な景品を扱うことはほぼあり得ないため、射幸心を煽ったとしても生活に悪影響を及ぼさない程度のものと言えます。多くの人と一緒に賑やかで楽しいひと時を過ごせるという点において、ビンゴ大会は非常に理想的なレクリエーションであることは間違いありません。

ビンゴ大会に必要な準備の詳細

老人ホームでビンゴ大会を行う場合、参加する人数分のビンゴカードが必要になります。また、数字を抽選するための道具も併せて用意しなければいけませんが、これらの道具はパーティーグッズを扱う雑貨店などで購入することが可能です。

ビンゴ用の道具以外では数字が揃って当たりになった人へ贈与する景品や会場に彩りをもたらす装飾品などがありますが、これらの物品も雑貨店などで販売されています。景品については老人ホームのスタッフによる手作りのおもちゃやお菓子なども喜ばれるので、ビンゴ大会を開く際は景品選びにこだわることが肝心と言えるでしょう。

老人ホームでの暮らしをより楽しいものにするレクリエーション

老人ホームで行われるレクリエーションは高齢者の身体機能や社会性の維持を目的として行われますが、老人ホームでの暮らしの中で適度な刺激をもたらす意味も込められています。大勢の人と一緒になって数字の抽選に一喜一憂するのは高齢者にとって程よい緊張と興奮です。

次のビンゴ大会が楽しみになり、生きる気力が沸き立つことにも繋がるでしょう。